『J.B.ハロルドの事件簿』とは

【強さも正義も、翳りゆくこの国で。|序章】

J.F.ケネディが、キング牧師Jr.が、ともに暗殺され、この国は社会主義勢力への介入の色を次第に濃くした。

ベトナムからの帰還兵たちは、非難や中傷を受けた。

未曾有の世界的株価暴落に、誰もが憤りを隠さなかった。

強く正しき国、自由と民主主義。アメリカンドリーム……

歯車の微妙な狂いは、現実の大きな狂いになっていった。

翳りゆくこの国に、一人の刑事は、一体何を見るのか……

【刑事の誇り。それだけが信条。|J.B.ハロルド】

1957年生まれ、6フィート、195ポンド。亡くなった彼の父親も刑事だったということと、学生時代に最愛の人が凶弾に倒れ、目の前で起こった惨劇に彼女を守ってやれなかったという後悔が彼を刑事にしたということ以外、彼の過去はあまり知られていない。余計なことは一切口にせず、刑事としての経験や直感、そして「誇り」を一番の頼りとしているため、一人で行動することが多い。安易に他人の意見に同調しない、少々頑固な面も。

カウンターだけの小さなバーで、煙草をくゆらしながら独りバーボンを飲むのが日課。C.パーカーやJ.コルトレーンなどのモダンジャズを好んで聴く。


【街は、感傷的な罪に満ちている。|J.B.ハロルドの事件簿】

そこに住む誰もが、平和で静かな日々を送る小さな町・リバティタウン。アメリカ中東部にあるこの町の警察署に、彼はいた。

リバティ・バンク横領事件に端を発した「ビル・ロビンズ殺害事件」。

彼独特の地道で忍耐強い捜査が、20年前に迷宮入りした事件をも紐解き、静寂を取り戻した小さな町で刑事J.B.ハロルドの名は知られることになる。

彼には、彼の中に何かを残した人間の「求め」と、そしてどこかやりきれない感傷に満ちた事件が、常に付きまとう。

彼はそれを自分の運命と受け止めるかのように、上司の命令もよそに、ひとり事件解決のために足を向ける。

ピアニスト・サラの手紙を胸に向かったマンハッタン。

青春時代の辛く複雑な思いだけが残るワシントンD.C.。

信頼してやまなかった同僚刑事の死の謎を追ったシカゴ。

尊敬する先輩・ジャドの言葉に導かれたシアトル。

父の親友という不意の繋がりが呼んだサンフランシスコ……

哀しき事件は、被害者と加害者、そしてそれを紐解く者が一本の「運命」という細い糸で繋がっている。

それ故に、J.B.にしか解決できない、彼が解決すべき事件がある。